宗教的シンボルと意味
すべてのシンボルや象徴物には意味があります。 その意味を知ってこそアクセサリーがもっと輝いてみえることでしょう。 スパイキーパサルのアクセサリーの中でもみられる象徴物を文化的背景を交えて簡単に解説致します。
【バジュラ(金剛杵・チベット名ドルジェ)】
アジアのパワーのシンボル!といっても過言でないのがこのバジュラ。 元々はヒンドゥの神様であるインドラ神が所持する武器であり、インドラ神の象徴とされているものです。 ヒンドゥの反勢力として台頭した仏教ですが、ヒンドゥの影響なしに語ることはできず、このバジュラもヒンドゥ文化より仏教に取り込まれたものです。 その鋭利な形のごとく、バジュラは剣と棍棒と槍の側面を持ち、あらゆるものを断ち切るのです。 仏教におけるバジュラは中心の心棒を含む5つのプロペラで構成されているものが最も典型的な形であり、日本ではその特徴に準えて五鈷杵と呼ぶこともあります(プロペラの数に応じて独鈷杵、三鈷杵、九鈷杵等もあります) 例えばお遍路さんで有名な弘法大使空海が手に持っているのもこの五鈷杵です。 バジュラとはサンスクリット語であり、「雷」「ダイヤモンド」という意味があります。 このバジュラはダイアモンドのように固いとされ、すべての無知や悪行を打ち砕くといわれるものなのです。 このバジュラは決して壊れることはなく、つまりはダイヤモンドのように固い仏の教えの象徴だともいわれます。 またバジュラは男性原理の象徴でもあり、女性原理の象徴であるガンタ(金剛鈴)と対を成すことにより、2つの原理の相互関係が涅槃へと導くとされます。 その他にも煩悩に対する勝利、無限の可能性、万物の真実なるもの、など金剛杵の持つ仏教的意味合いは様々です。
デザイン性に優れているため、バジュラをかたどったアクセサリーなどは今日、おみやげ物屋でもよく見られます。 銀で丁寧に彫刻されたものや、木製品、水晶を加工したもの…丸みを帯びたバジュラや、角ばったもの、それに2重に重なり合ったダブルバジュラなど、実に多くのバジュラ関連アクセサリーを目にすることができるでしょう。 バジュラ(金剛杵)というもの文化的宗教的意味合いを知ることによって、また新たな魅力に気がつくことができるのではないでしょうか。
【プルパ(金剛厥)】
バジュラ同様神々の持つ法具の一つである三枚の刃をもった短刀です。 形やデザインは様々ですが、一般的に先端に3つの刃、中央部分(手に持つ部分)にバジュラをかたどったもの、そして柄の部分には憤怒神や動物が装飾されることもあります。 高価なものほど装飾にこだわっており、中には宝石を施したものや神獣を彫刻したものもあります。
仏具としては主に、宗教的儀式を行う為の結界を張る際に使われます。 プルパによって作られた結界は冥界の魔王さえも立ち入ることが出来ないのだとか。 また、経験を積んだラマ僧はプルパに神を光臨させて魔を打ち砕く儀式も行います。 3つの刃はそれぞれ仏教の3大悪であると考えられている「欲望」と「無知」と「憎悪」を打ち砕きます。 同時に3つの刃は現在・過去・未来を司るという側面も持ち、時間的概念を越えた力を秘めていると考えられるのでしょう。
プルパもデザイン性が高く、今日では様々な素材によって作られています。 インドで機械生産されている真鍮製のプルパなどは廉価で手に入り、クオリティーもなかなかなものです。 しかしスパイキーパサルはネパール産で現地職人により手で彫刻されているもの、装飾に凝っているもの、素材が面白いものを追求します。
【マニコル(マニ車)】
マニ車とは内部にお経が収められている筒状の法具で、仏教寺院や仏塔を取り囲む塀の部分にはめ込まれているものや、信者自らが手に持って回転させられるようにマントラ(経典)が納められた筒に手に持てる柄が付けられているもの等があります。 マニ車の表面にはオムマニパドメフムという六音字の経が書かれているものがほとんどですが、凝ったものになると八吉祥や守護尊格等が描かれていることもあります。
人々はこれをお経が書かれている方向、つまり右回りに回して歩きます(熟練の修行僧になると反対回しをすることもあり、反対回しをすることによりより高度で畏怖のパワーを得られると考えられていますが、素人は厳禁です) マニ車は回す度にお経を読んだのと同じ効果があると考えられている非常にありがたいものです。 気持ちを落ち着けて、回転と同様に自分自身でもマントラを唱えるのが最も良しとされ、マニ車を回すことにより叡智を蓄えたり悪い魂や業を浄化してくれるとも考えられています。 また、このマニ車の効果は人間以外にも良い影響があるとされ、例えば回転しているマニ車のそばを虫が横切ると、その虫にさえも読経の効果があると考えらております。
チベット系民族や仏教徒がマニ車をころころと回す姿はカトマンズの仏教施設であるスワヤンブーやボダでも日常的に見られる光景です。 夕方近くなると老若男女を問わずにマニ車を回しながら仏塔を右回りに回る姿は、一種の幸福感や共有感を覚えることでしょう。 このマニ車もおみやげ品やアクセサリーのモチーフとして使われます。 当店で扱っているマニ車関連アクセサリーには、内部に紙の経典が入っているものもございます。 オムマニパドメフムを唱えながら右回りに回してみましょう。
【チベット八吉祥(アスタマンガル)】
チベット仏教に伝わる8つの吉祥の印です。 この8個の法具はシャキャムニ(お釈迦様)がブッタとして覚醒した際に与えられたという伝説があり、仏の教えをわかりやすく象徴化したものだとされています。 シンボル化することにより誰でも教えをわかりやすく覚えることが出来きるというメリットもありますが、密教においては無の世界(自分の内部)に生き生きとした仏様の姿を描くことにより仏様と一体化できると考えます。 その為の修練として視覚化しやすい象徴やその象徴が内包する意味合いは、密教の修行において非常に重要な役割を果たします。 密教に象徴物が多いひとつの理由でもあります。 お陰様でアクセサリーや銀細工としてのデザインにも事欠きませんね。 8つの吉祥は以下の通りです。
保護傘(チャットラ):傘は本来、我々を熱や太陽光から守ります。 チベット仏教の象徴としては、悪や欲望から我々を守る役割があります。
右巻きほら貝(サンカ):パワーや権力の象徴であり、その深い音色は覚醒を促し、さらには悪い魂や天災さえも追い払う効果があります。
金の魚(マツヤ):水の中を自由に泳ぐ様から自由と開放の象徴とされています。 仏教的意味合いでは輪廻からの解脱ということになります。
宝石瓶(ブンバ):無限に出てくる金銀財宝…富と繁栄の象徴です。
勝利の旗(ドゥジャ):勝利の証である旗は、仏教の英知による無知の克服を意味します。
無限の結紐(シュリヴァスタ):ブッタの無慈悲の愛の普遍性を示すと同時にすべてのものの合一性を象徴します。
法輪(ダルマチャクラ):涅槃へ至る八正道を具現化したもので、法を守ることの大切さを示しています。
蓮の花(パドマ):白い蓮の花は純真、清潔を表します。 汚い沼の中からでもまっすぐに伸びて大輪を咲かせる様をしばしば「涅槃」や「覚醒」の象徴とすることもあります。
【マントラとオムマニパドメフム】
マントラとは聖なる言葉であり、日本語では真言と訳します。 言葉それ自体(厳密には言葉の放つバイブレーション)がパワーを持つ聖なる音節なので言葉にして発するだけで効果があるとされています。 マントラは神々への祈祷と呼びかけの言葉です。 「オム」という音は宇宙が創造した振動の音だという壮大な概念の上に成り立っておりますが、こちらもヒンドゥ文化や哲学を仏教がとりいれたものです。
一番有名なチベット密教マントラと言えば、「オムマニパドメ(ペメ)フム」という6つの音律で成立しているものでしょう。 言葉自体が特別な意味を成しているわけではありませんが、「オーム、宝石が蓮の中にありき」という訳となります(解釈の仕方により訳が異なる場合あり) 例えば上記で登場したマニ車に彫刻されているものこの「オムマニパドメフム」ですし、アクセサリーなどに多く利用されるデザインとしてのマントラもほとんどがこれです。 最も万能なマントラと考えられますが、正確には観音菩薩のひとつの顕在の形である六音字観音(現地名カルチェリ)に捧げる呼びかけのマントラです。難しいようですが、マントラとは要するに日本の「南無阿弥陀仏」です。 困ったときには意味もわからず「南無阿弥陀仏」でしょう?
【ナーガ(蛇神)】
世界中で畏怖と力の象徴として、しかしその内部に秘めたる神聖さを感じて崇められてきた蛇。 日本でも神社の白蛇は神の使いとされていますし、遠くアンデスやインカの文明では「翼を持った蛇」が文明をもたらしたとして崇拝の対象となってきました。
インド文化圏でもそれは同じで、古くから蛇やコブラは畏怖や信仰の対象とされてきました。 毒蛇の被害をなくすための蛇供養祭(ナーガパンチャミー)が行われるほどにインド圏における蛇の存在感は絶大です。 蛇はナーガと呼ばれ、ヒンドゥ三大神の筆頭であるシヴァ神とも緊密な関係にあります。 破壊を司るシヴァ神は常にナーガをつれて歩き、世界創生神話「乳海攪拌」でもナーガは大活躍しました。 脱皮を繰り返す神秘的な習性から不死の象徴ともされてきました。 マハナーガ(大蛇)やナーガラジャ(蛇王)、ナウナーガ(9つの頭を持つ蛇)と様々な種類のナーガが存在し、現在では工芸品やアクセサリーとしてのデザインにも活用されます。
アクセサリーとしても人気が高く、当店自慢の水晶ペンダントでもナーガは大活躍。 人気のデザインとなっています。 象徴学上では蛇のアクセサリーは運気の向上とカリスマ性・魅力のアップに効果があるとか。 確かに蛇のアクセサリーを身にまとっている人は神秘的に見えませんか。