水晶用語・外観&形状編
用語解説のはじめに
「十人十色」
10人寄れば10人それぞれに違った個性(色)がある、という諺です。 これは水晶原石にも当てはまることであり、10の水晶があれば10の表情豊かな個性があります。 水晶一本一本がそれぞれの外的特徴(形状、外観)と内的特徴(内包物、内観)を持ち、各々が多方向に広がる小宇宙を創り出します。 人々は古来から水晶の持つ生き生きとした個性に魅了され、外的特徴や内的特徴を分類化し、それぞれに形状の名前や石の意味、パワーストーンとしての役割を持たせるようになりました。
はじめて石の世界に入る人は、「なんだろう、この言葉は?」と困ってしまうことも多いのではないでしょうか。 一般的水晶用語の解説とともに当スパイキーネパーの独自調査と経験による、当店にしかないヒマラヤ水晶における解説も交えて一覧を作成しました。
しかし、形状などに関する「定義」というものは存在しません。 こういう形の水晶はこう呼ばれている、という世界共通の大まかな理解があるに過ぎません。 ネット検索をしていると同じ言葉に違う解説を目にすることも多いでしょう。 以下の用語説明もあくまでスパイキーパサルにてヒマラヤ水晶を解説するにあたり、「こういった意味で使用している」というキーワードであり、一般的なものや他のサイト・個人さんの解釈と異なる場合もございますのでご了承ください。 これらの水晶用語はすべてスパイキーパサルがヒマラヤ産で確認したものであり、まだヒマラヤ産で確認していないものは、掲載しておりません。 また、個人的見解で「これはいらないだろう」というものも割愛させて頂いております。
当スパイキーパサルでは長年の経験により、個性豊かなヒマラヤ水晶たちの特徴を大まかに分類してきました。 それら多層に広がるヒマラヤ水晶を形容するにあたり、前身のスパイキーネパールから多くのオリジナル造語を作り出しております。 それらの造語は一般的なものではございませんので、「S造語」という表記をしております。
スパイキーパサルは水晶と個人との関係を大切にします。 もちろん定義や水晶用語など一切知らなくてもひとつの水晶と触れ合い、響きあうことが可能です。 しかしスパイキーの水晶に対する説明を見る際に、これらのキーワードを少しの参考にしていただければ幸いです。
アイウエオ順ではありません。上の記述と下の記述が連携するように考えて並べております。
外観・形状の用語
【シングルポイント】
水晶の最も一般的で基本的な形。 ポイントのことをターミネーション(Termination)ともいいます。 シングルポイント・シングルターミネーションの水晶は、6角柱の柱面が錐面へと移行し、錐面が集束してポイント(先端)を形成します。 つまりシングルポイント水晶とは六角柱に六角錐が乗っかっているものです。 ペンダント加工にも最も適しているのでスパイキーパサルで多く使われている水晶です。 |
【ダブルポイント】
ダブルターミネーションとも言います。 英文解説では、ポイントという言葉よりもターミネーションという言葉のほうが一般的であることも覚えておきましょう。 ダブルポイントの最大の特徴は、名前の通りポイント(水晶の先端部分=錐面)が両側にあるということです。 日本では両剣水晶・両錐とも呼ばれいます。 この水晶は生成の過程の何らかの原因で壁から剥がれ、壁面に対して水平で生成したと考えられます。 両の先端が自由空間で成長するために2つのポイントが生まれます。 2つのポイントは二つの相反する力を示すといわれ、心と体、現実と精神世界など二つのものを繋げる働きが強いとされます。 ペンダント加工の際は、両方のポイントが見えるように、ナーガ仕様か吊り下げタイプの銀加工を施します。 |
【マルチポイント】
片方の端がシングルポイントで他方の端がたくさんの小さなポイントで出来ている水晶。 その様がロケットのように見えることでも有名です。 英名ではExtra terminations(ETs)と呼ばれることもしばしば。 ダブルポイント同様に壁面に対する接地がなく、水溶液の中から単体で産出するタイプの水晶です。 また、シングルポイント側を下に向けてひっくり返すと花束のように見ます。 その為、当店ではフラワークリスタル(S造語)と呼ぶこともあります。 |
【群生水晶(クラスター)】
まさに文字のごとく、群れを生成している水晶です。 多くの水晶結晶が群生して一つの塊を成しているものをクラスター(群生)水晶と呼びますが、剣山のようにみえます。 水晶、と聞くと占い師の丸い水晶球やこのようなクラスターを浮かべる人も多いのでは? あらゆる方向に向かって無数の結晶が元気良く母岩より突き出しています。 クラスター水晶はペグマタイト鉱床で多く採掘され、ヒマラヤ水晶のクラスターとしてはタプレジュン地区カンチェンジュンガのものが有名です。 イカブ地域やロダンタール地域で多く産出しましたが、2000年代後半から急に採掘が途絶えてしまいました。 浄化作用も強力であるといわれ、ペンダントやブレスレットをクラスターの上に置いて浄化する際にも活躍してくれます。 |
【ツイン(双子水晶)】
2つの結晶が仲良く並んでいる水晶です。 片方が小さくて大きなほうにぴったり寄り添うような水晶は親子水晶と呼び、スパイキーパサルでは小さい方を子結晶と呼ぶ事があります。 ツインにはそれぞれの結晶が違う方向に伸びているもの、同軸方向の双子(平行連晶)、兄弟のようにそっくりなツイン、様々な形状があります。 またトリプルの3つ子や4つくっついているのも珍しくありません。 特にトリプルの水晶は、ヒンドゥ教の法具のひとつである三又の槍、トリシュルに準えて「トリシュル水晶」(S造語)と呼ぶことがあります。 |
【タントリックツイン】
水晶のボディに境界線を有さずにポイントが2つ発生しているもの。 ツインと同じなのですが、特別に境界線が無くポイントが上部で2つに別れているものをタントリックツインといいます。 密教や秘儀という意味をもつのが「タントリック」です。 神秘的な力が強い水晶なのかもしれません。 日本ではあまり名が通っておりませんが、海外ではそこそこ人気のある水晶のようです。 |
【タビー水晶】
タビュラー(Tabular)とも呼ばれます。 平らな、平べったい、テーブル状の、という意味あいが示す通り、平べったい平らな水晶を指して使われます。 6柱面のうちの2面が他の4面の2倍以上の面積を持ち、各錐面の集束地点であるポイントが「点」ではなく「線」になることが多いです。 大きな2面は水晶生成時・成長時における硅酸の分配のバランスに不均衡があったためと考えられます。 どっしりと構える水晶は安定感抜群です。 |
【レザー水晶】
レーザー光線のレーザーを想像すれば良いでしょう。 しゅっと細長くスレンダーな水晶で、根元からポイントにかけてゆっくりと細くなっていきます。 その為、錐面とポイントが非常に小さく美しく整っていることが多いのも特徴です。 またこのタイプの中には先端部分を軽く叩き合わせると、ティーンティーンと心地よい高音を発するものがあり、現地ではシンギングクリスタルやティンティンと呼ばれることがあります。 ヒマラヤに響き渡る高音は癒しを与えてくれそうなほどに心地良いです。 |
【セプタ−水晶】
この不思議な形! 松茸水晶、王杓水晶という和名がありますが、見て納得ですね。 上部にキャップがくっついたような形状ですが、これは土台となっている水晶がゆっくりと生成・成長している間に、周囲の環境が大きく変化し(水晶周辺での劇的なシリカ→水晶を形成する元素の増加が要因といわれる)、ポイントの生成を一気に促進させたというのが一般的な説です。 ポイント周辺のほうが角が多いため、角の多い部分に電子運動が集中します。 すると結果として、電子運動が活発な部分に原子が集中し、成長に偏りが生まれて後に生成を始めたポイント部分のほうが大きくなります。 2つの生成・成長段階を持つ、面白い形状の水晶です。 後に生成した水晶が根元の水晶を覆い尽くすケースが多いのですが、稀に後期の水晶がちょこんと乗っているだけの可愛らしいものもあります。 珍しい水晶ではありますが、ヒマラヤにおいてはそこそこの産出があります。 ダディン地区ガネーシュヒマール山のラパ地域においては緑泥石混じりのセプター、アメジスト水晶のセプター、非常に透明度の高いセプター等も産出します。 ※セプターの生成には他の説もございます。 |
【仏塔水晶(インナーセプター)】
根元が太く、ポイントに至るにあたり、一定の部分を境に急激に細くなっている水晶のこと。 2つの生成過程を経るセプターとは違いますので、厳密にはセプター水晶ではありませんがセプター水晶とは見た目が反対なので、インナーセプター・リバースセプターと呼ぶこともあります。 その形状が現地ネパールで良く見られる仏教建築のストゥーパ(仏塔)に似ていることから仏塔水晶(S用語)とも呼びます。 |
【成長干渉水晶(Growth Interference) 】
成長干渉水晶というなんとも不思議な名前。 Growth=成長 Interference=干渉という英語をスパイキーが和訳したものです。 しかし意味をわかって頂けると簡単です。 水晶が生成している時期に何らかの外的干渉を受けて(大抵の場合は阻害物は岩壁や他の鉱物となります)溝や中断面が出来ているもの。 この中断面はまるで回転ブレードで切ったかのようにすぱっと切れているものもあります。(ナチュラルカットと呼ばれます) 成長干渉水晶は非常に面白い様々な形や面を作り出してくれます。 時には縦に走る迫力満点の断層を作ったり、またある時はピラミット状の形状を成すこともあります。 これぞ自然の芸術!成長干渉水晶は水晶鑑賞のハイライトの一つでもあります。 |
【カテドラル水晶】
形状はまさにゴシック建築のカトリック教会の大聖堂(Cathedralとは教会です)のよう。 中心の水晶の周りに、大きさ、長さ、太さが異なる水晶が周りを取り巻いている状態のものを指します。 すべての取り巻いている水晶は中心の水晶と平行に成長しているため、同じ方向(同軸)に向かってポイントを生やしています。 また、中世のお城のようにもみえることから、Castle(キャッスル)水晶と呼ばれることもありますが、個人的には「バビロン水晶」という呼称が気に入っております。 古代バビロニアの建築を彷彿させるところに由縁があるのでしょう。 |
【ミラー水晶】
水晶の照り艶・輝き・透明度・光の強さという4つの要素が非常に高いレベルにある水晶をミラー水晶(S造語)と呼んでいます。 ミラー水晶の中にも質がありますが、これはスパイキーの長年の経験で、相対的に判断させて頂いているものです。 最上級のミラー水晶になると、すべてを弾く鏡のごとく輝きます。 比較的高温高圧下でゆっくりと育てられた水晶であることは、表面のモザイク模様からも間違いないようです。 暗闇の中の一寸の光明、まさに光の塊のような水晶なのです。 ヒマラヤ水晶が世界に誇れることを証明してくれる水晶だと言っても過言でないでしょう。 主にガネーシュヒマールのラパ地域とティプリン地域で産出しますが、圧倒的な最高質はラパ地域のチョンテンカルカとマンガルカルカ鉱のものでしょう。 ダイナミックで反射が非常に強いのが特徴です。 対するティプリン産はモザイク構造面が強く繊細に煌きます。 残念ながら最高質のチョンテンカルカ・マンガルカルカ産は2000年代後半には枯渇してしまいました。 |
【エレスチアル】
あまりに有名な形状に対すいる呼称であり、色々な解釈やスピリチュアル的なものが氾濫して、最も定義付けのわかりにくい形状の種類ではないでしょうか。 簡潔に定義するならば、「たくさんの同軸方向を向いた水晶が大きな水晶の上に幾層にも重なりあい、融合してひとつを形成している形状のもの」といったところでしょうか。 その容姿がワニの鱗のように見えるのでジャガレー水晶(ジャガレーとはポルトガル語でワニ)と呼ばれます。 英名でAlligater(アリゲーター)水晶とも呼ばれます。 生成の過程で水晶が重なりあうという状況はセプター水晶に近いものがあります。 いつの頃からなのか下記スケルトン水晶もエレスチアルに含まれるようになりましたが、生成の過程において層状に形成された作られたジャガレータイプとは全く異なるものです。 更に悪い事に、近年は何故か内包物入り水晶の事をエレスチアルと誤称している場合が多々見られます。 エレスチアルとは形状に関する呼称であり、内包物は関係ありません。 また、「水晶最後の姿」という解説を見かけることがありますが、水晶が古くなる(老いる)とこのような形状になるわけではなく、生成段階でこの形になります。 |
【スケルトン水晶(骸骨水晶)】
名前は恐ろしいですが!?非常に面白い表情を見せてくれる水晶のひとつです。 スケルタル水晶(Skeletal)とも呼ばれます。 和名は骸骨水晶・骸晶となります。 スケルタル水晶は通常よりも短い期間で生成・成長が完了したものです。 成長の早い角や稜の部分だけが先に成長をする事により、平たい部分が取り残されて表面に激しい凸凹が生まれます。 これが骨格のみを残したような表情を持つ骸晶なのです。 スケルトン水晶は、周辺の泥土や水、ガスなどを内部に取り込むことが多く、変わったインクルージョンが見られがちなのも特徴です。 また、ヒマラヤ水晶の解説で既出の通り、アルパインベインタイプの鉱脈でよく産出する形状の一つです。 ちなみにこの形状をドイツではフェンスタークォーツと呼び、そのフェンスターの英語訳がウインドゥクリスタル、つまり窓水晶です。 ラパの一部地域とティプリンにも産出する地域があるのですが、厳密な鉱山は只今調査中です。 アメジスト水晶(色分類参照)が出る地域でもよく見かけます。 |
【ドラゴンの鱗】
他の要素に表面を溶かされてしまい、浸食を受けたものだと考えられます(トライゴーニックのようなものでしょうか) しかしトライゴーニックよりもはるかに激しく浸食され、6柱面の無いものが多く、まるで水晶には見えないものも存在します。 表面は照りがありながらもボコボコしている、といった感じです。 英名ではCorroded Quartz(浸食水晶)と呼ばれることが多く、地質の急激な変化によって他の溶液が浸食されることによって起こります。 竜紋のような…ドラゴンの生き生きとした姿が浮かんできたためにドラゴンの鱗(S造語)と名付けました。 ティプリン地区のトライゴーニックやミラー水晶が産出する地域から稀にやってきます。 ※スパイキーパサルが調査したものです。 |
【キャンドル水晶】
中央の水晶の柱面からたくさんの子結晶が放射状に生えている状態の形状。 カテドラルと同じに思われがちですが、最大の違いは、子結晶が柱面から個体として生成させれているということです(これをSplit Growthといいます) その為、カテドラルはすべての結晶が中央の水晶と平行に育つのに対し、キャンドルの場合は各々がばらばらの方向を向いています。 確かにろうそくが溶けている様に似ています。 大抵の場合は半透明もしくは不透明なミルキーカラーであり、透明なものは見たことがりません。 |
【褶曲水晶】
生成の過程において何かしらの要因が加わり、曲がって成長した水晶。 英名ではベンド(Bend)もしくはカーブド(Curved)クォーツと呼ばれます。 褶曲タイプの水晶にはこの言葉の如く、2タイプあるように思えます。 まずは、成長の過程において外的圧力でぐっと曲げられたように見えるものです。 まさに折るという意味もある「ベンド」タイプのものです。 ベンド水晶は良く見ると曲がりが始まっている部分に霧状のもやがみられ、そこから無理に曲げられたかのような印象を受けます。 対してもう一つのカーブドタイプ(写真のもの)は一つの結晶からできたのではないのがわかります。 曲がっている部分をみると、いくつもの小さな結晶が見られ、どちらかというとこの小結晶の向きに沿って自ら曲がっていったかのような印象を受けます。 |
【トライゴーニック】
水晶の面と面が合わさる「線」一本一本に横に走る条線がスクラッチされており、さらに錐面(ポイントの面)にレコードキーパーとは反対の逆三角形▼が刻まれているもの。 特に横に走るスクラッチは、後から人工的に削ったかのような見事なものです。 このスクラッチは浸食によって起こります。 地殻運動の非常に活発な場所で見られがちな浸食ですが、具体的には温度の急上昇や地中での圧力の急上昇等により、劇薬系の溶液(例えば400度で溶解し、浸食力の強いフッ化水素など)が水晶の溶解を招いて起こります。 不思議で神秘的な雰囲気を持つ水晶ですが、ヒマラヤにおいては主にティプリンにて産出します。 しかしラパの一部地域から来た水晶にもトライゴーニックを確認したことがあります。 ※スパイキーパサルが調査したものです。 |
【セルフヒールド】
水晶が母岩から離れたとき、隣り合う水晶の片方が取れてしまったとき、またはダメージを受けたとき、剥離部分はダメージとなります。 水晶は自分自身を治癒し、ダメージを受けた面は長い時間をかけてゆっくりと新しい水晶構造を作り出すのです。 新しいダメージは貝殻模様と呼ばれる同心円状の鋭い照りを発しますが、自己再生(治癒)により、新しい水晶構造を創り出した面は、凹凸があり、鈍い照りをしたものになります。 |
【イシス・チャネリング・ダウ水晶等のポイント面による名前】
錐面(ポイント面)の形により、水晶を分類分けすることもしばしばあります。 古代エジプトの女神の名を冠いたイシスクリスタルは、ポイント面に綺麗で整った5面を持ちます。 同様に整った7面を持つものをチャネリングと呼ぶことがあり、その名の通り未知なるものとのチャンネル(交流)に役立つのだとか。 また、不釣り合いなほど大きな7面を錐面に持つものを、ダウクリスタルと呼びます。 これは生成時の硅酸の分配の不均衡などにより、その面だけゆっくりと成長したためだと考えられます。 英文ではDow Crystalと書かれがちですが、本来はDauphinという言葉に由来があります。 ポイント面に綺麗な5面をもつ水晶をイシス水晶といいます。 エジプトの女大魔法使いであり女神であるイシスの名を頂いたこの水晶は女性的な力をサポートしてくれるものです。 また稀ですが7面ポイントを持つ水晶もあり、チャネリング水晶と呼ばれています。 持つ人の深い深層心理に「チャネリング」してくれる水晶です。 その他にも錐面や柱面と錐面の間に現れる面により、特別な名前や役割を与えられている水晶がございます。 |
【条線の刻まれた水晶】
バーコードのように横に伸びる線のこと。 この横線は水晶の成長線であり、たとえて言うのであれば樹木の年輪と同じようなものです。 条線水晶、バーコード水晶と呼ぶこともありますが、よくみるとほとんどの天然水晶で肉眼での確認が可能です。 最近では様々な他の条件プラスこの条線が深くくっきりと現れているものをレムリアンシード(レムリア水晶)と呼ぶそうですが…パワーストーン用語として耳にすることが多いのではないでしょうか。 ちなみに深い条線は高温下でゆっくりと育てられた水晶によく表れる特徴だと考えられます。 条線水晶は非常にスマートなものが多く、ポイント面で急激に細くなるため、ポイント面が極小となり6面を持たないことがあります(三角形の3面のみ)。 この特性はMuzo Habit(ムッゾ特性)と呼ばれます。 このタイプ、ガネーシュヒマールのラパでも見かけますね。 |
【レコードキーパー】
「記憶の貯蔵庫」という名の水晶です。 パワーストーン用語と言えるでしょう。 宇宙と地球、そしてさらに高い次元の叡智と記憶が刻まれていると信じられ、この水晶は与えられたものにそのすべてを授けるとされています。 ポイント面に三角形(ピラミット型▲)が浮き出していたり、刻み込まれているものを総称してレコードキーパーと呼びます。 三角形が刻まれたり、浮きだしたりする要因は様々ですが、実は「条線」同様にほとんどの天然の水晶に刻まれているものです。 ただし、多くの場合肉眼での確認は困難で、光に当てたりルーペで探したりしなければなりません。 また、度々「使っているうちにレコードキーパーが浮き出てきた!」という話を聞きます。 少し神秘的な香りが漂う水晶といえそうですね。 |
【カンテラ水晶】
暗い闇夜にともる光、そんな印象を受ける水晶です。 まさにカンテラのようみ見えるのでカンテラ水晶(S造語)と名付けました。通常、緑泥石などの内包物が入る場合、内包物は水晶を作る溶液よりも重いため母岩の下に溜まります。 その緑泥石の層を突き抜けて水晶が生成すると根元周辺に緑泥が溜まりこむ水晶が形成されます。 従って上部に向かって透明になっていくのが一般的なのですが、このカンテラ水晶はポイント周辺に内包物(緑泥石)が溜まりこみ、根元周辺が透明なのです。 あくまで憶測にすぎませんが、地殻活動の活発なヒマラヤですから、生成の最中で溶液内に激しい変化(揺れや成分構成の変化)が起こったために緑泥が巻き上げられる現象が起こったのでしょう。 まだ、厳密な鉱山は特定できておりませんが、ガネーシュヒマールのラパ地区内(おそらくはヤルサと呼ばれる地域周辺)だと推測しております。 この周辺の水晶には、カンテラにならずとも上部に緑泥が散在する素晴らしい水晶が多々存在します。 ※スパイキーパサルが調査したものです。 |
【グリーンスター水晶】
これも初めて目にしたときに感動を覚えた水晶ですが、ネーミングに悩みました。 最初の案は…盆栽水晶です。 これが水晶だといわれても疑って当然でしょう。 針状の細かな結晶が縦横無尽、放射線状に生成する様は芸術的としか言えません。 これらの水晶の多くは接地面がなく、粘土質の緑泥層の中でのみ生まれます。 水晶分子構造の格子のありとあらゆる隙間に緑泥石が入り込み、そして表面にも付着しております。 余談ですが、これらの水晶は粘土質の泥の中に存在するため、周りをすべて塩酸で溶かした後にゆっくりと水をかけながら救出しなければならないという非常に手間のかかる水晶です。 これはダディン地区ガネーシュヒマールのラパ村手前、レーという鉱山でのみ産出します。 ※スパイキーパサルが調査したものです。 |
【陰陽水晶】
内包物部分(ヒマラヤ水晶の場合主に緑泥石)と透明部分がちょうど半々に分かれている水晶の総称。 内包物のみならず、霧状のもやと透明部分が半々になっているものも陰陽水晶と呼びます。 中国の道教のシンボルである陰陽印(YinYan)に語源がありますが、英文サイトでもYinYan Crystalとしていることがしばしば。 内包物によって作り出された世界を表す用語ということになります。 |
【外観の補足:水晶を形容するときの言葉】
照り | 字の如く、表面の艶やかな照りを表現するときに「素晴らしい照り」といった具合に使います。 ヒマラヤ水晶はアルパインベイン鉱脈において比較的高温高圧下でゆっくり育つものが多いのですが、そのような水晶は表面がモザイク構造を持ち、非常に艶やかなのが特徴です。 この類まれなる照りこそがヒマラヤ水晶を他の水晶と一線を画する要素だと思います。 |
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甘み・とろみ | これもヒマラヤ水晶の照りと艶を形容するのに適する言葉です。 照りと輝きの強いヒマラヤ水晶は、思わず舐めてみたくなってしまうほどの甘さやとろみを見せることがございます。 |
シルバー系とゴールド系 | 透明な水晶には2タイプの透明がございます。 片方は上記のような強い照りにより甘みやとろみを伴う軟質な透明です。 それこ水に片栗粉を入れてとろみをつけたような、少しの色み(黄色っぽい?)を感じさせるものをスパイキーパサルではゴールド系(S造語)と呼びます。 ラパ・ティプリンの最強ミラー水晶全般はゴールド系です。 対してもう一方の透明は、非常に硬質で鋭い輝きを持ちます。 こちらはいわゆる透明らしい透明で、ガラスのような無色水晶です。 シルバー系の典型例としては、カンチェンジュンガ産やエベレスト産、ラパのアメジスト水晶鉱山の透明水晶です。 |
輝き | 水晶面が光を反射した時の光の強さを輝きと呼んでいます。 面の形や面の大きさ・面の数がイレギュラーであるほど、光を反射する面が多くなり、結果として輝きも強くなります。 例えばダイヤモンドをファセットすると(人工的に面をつける加工の事)きらきらと輝きを放つようになりますが、それは光が各々の面で反射するからです。 同様に天然の水晶でも、面が光を反射するとキラッと輝きを放ちます。 |
レンズ効果 | カット加工を施した水晶に付帯して、よく使われるスパイキー造語です。 カボションや涙、雫型など、丸みを帯びた形に加工すると起こる特有の内部現象のことです。 虫眼鏡や魚眼レンズなどを通してものを見ると、ぼわっと浮き出したような屈折した世界が見えますが、同様の光の屈折がカット水晶でも起こります。 原石においては起こり得ない現象ですが、カット加工の最大の魅力のひとつがこのレンズ効果だと思います。 |