銀細工の解説
スパイキーパサルのヒマラヤ水晶ペンダント
身につけられる喜びと身につけなくてもよいという美学
1999年にペンダント作りを開始してからの想い、「アクセサリーとして身につけることの出来るヒマラヤ水晶を」
ヒマラヤ水晶ペンダントへの強いこだわりは当スパイキーパサルの揺らがない指針なのです。
当店の誇りである原石ペンダントは、ヒマラヤ水晶の原石を生かして加工しております。
サイズの大きなものや形に安定感の無いもの等、実用的にはペンダントとして着けにくいかもしれません。
それでも良いのです。
ヒマラヤ水晶のペンダントとして蒐集・コレクションして頂きたいのです。
ペンダントの形であることが、スパイキーパサルにとっての美学なのです。
スパイキーパサルでは、現地で一本一本水晶を選びます。 数ある水晶の中から厳選するのは大変なのですが、選んでいる最中からすでに各々の水晶にどのような銀加工を施すかというイメージが湧いているほど、当店にとって水晶とペンダント作りは切り離すことが出来ないのです。
厳選された水晶たちを今度は銀加工の工房に持って行くのですが、それぞれの工房や職人には得意不得意がありますので、各々の工房に最も得意とするデザインで注文を出します。 工房へはほとんど毎日通い、銀細工の過程を見守ります。 厳選された水晶一つ一つに技術と愛情をこめてペンダントが出来上がる、この作業をヒマラヤ水晶が世に知られる以前からスパイキーパサルでは続けてまいりました。 最近は似たようなものを見かけることも多くなりました。 しかし経験と想いの詰まったスパイキーのヒマラヤ水晶ペンダントは、「粋」の良さが違うんです!
スパイキーパサルのヒマラヤ水晶ペンダントには様々なデザインがあります。 下記銀細工解説にてそれぞれのデザインや意味を知っていただければ幸いです。
ペンダントの銀細工解説
【フィルグリ(ノーマルデザイン)】
前身であるスパイキーネパールからのお客様には一番見慣れているデザインでしょう。 最もオーソドックスで、最も数の多いデザインです。 線細工の事を英語でfiligree(フィルグリー)というので、デザイン名としております。 線の細いワイヤーで様々な模様やデザインを創り出して銀キャップの土台に溶接した後に、いぶし銀加工(硫黄を使って酸化させる)を行います。 いぶし銀の具合、水晶へのフィット感、水晶に対する銀キャップの大きさのバランス等を考慮して作られます。 シンプルで水晶を邪魔せず、しかしアクセサリーとしても見栄えがするものは、なかなかのセンスと技術が必要です。 原石ペンダントはもちろんのこと、カボションの側面などに使われているのもこのフィルグリデザインです。 尚、カボションを作る際は、いぶし銀加工を行わないこともございます。 その場合は白銀フィルグリと表記しております。 |
【ナーガデザイン】
ナーガとはヒンドゥー教の様々な神話でも登場するヘビ神のことです。 不死と生命力を司る神様ですが、現在のインド・ネパールでは水辺を守る神様でもあります。 シバ神とも密接な関係にあり、その攻撃力と毒は畏怖の対象にもなります。 また、シンボル学では蛇はカリスマ性と魅力の象徴だとか。 6-7年前に初めて登場してからたちまちの人気デザインとなりましたが、ナーガデザインにはスパイキーのこだわりがたくさん詰まっております。 まずはナーガ作りが一番上手な工房でナーガのみを作ります(一番大切なのは、ナーガの顔!当店のナーガの生気溢れる顔をご覧ください) その後ナーガを水晶に巻くのが上手い職人に持って行って水晶に巻きつけるのです。 この巻き方は、当店直属の銀細工にしかできません。 彼の巻き方は芸術そのものです。 ナーガの巻き方にはその他色々な秘密が詰まっているのですが、ここで企業秘密を書くのは控えておきます。 ナーガデザインの真骨頂はもちろん原石ペンダントです。 最もナーガが活躍するのはダブルポイント水晶です。 ナーガデザインの場合、両方のポイントを壊さずにペンダント加工が可能です。 弱点としてナーガの周辺に接着剤が残ってしまうということがありますが、極力必要のない接着剤は取り除くようにしております。 |
【バジュラトップ】
日本語では金剛杵、またチベットではドルジェと呼ばれている密教の仏具ですが、もともとはヒンドゥ今日の神様であるインドラの武器です。 弘法大師空海が手に持っているのもこの金剛杵です。 同じ密教文化を持つ我々には少し馴染みがあるかもしれませんね。 このバジュラはダイヤモンドのように固いとされ、すべての悪行とカルマ(業)を打ち砕くといわれます。 銀トップでは形がディフォルメされて可愛らしいのですが、力の象徴なのです。 スパイキーパサルのバジュラトップには丸いタイプと三角のタイプがあります。 これも手で作っているために、稀に少し曲がっているものなどもありますが、ご愛嬌ということでご了承ください。 まさにヒマラヤ水晶と現地文化が融合した瞬間!完成したのは2003年でした。 主にフィルグリキャップのトップやカットされた雫型のトップに付けております。 |
【アンティークデザイン】
このアンティーク調の仕上がりがヒマラヤ水晶とも非常に相性が良いデザイン。 しかしこれを作れる細工師が不在となってしまった為、2003年ごろから作れなくなってしまったデザインです。 このデザインの凹凸部分及びにその上にデザインを乗せる細工は、特殊な技術を要する上に時間のかかる作業で、なかなか上手に作れる細工師がおりませんでした。 ようやく2010年に納得のいく工房と技術の高い細工師が見つかったことにより復活を遂げました。 かつてのものより更にパワーアップしております。 技術料が若干高いのですが、それに見合う素晴らしい仕事だと思います。 今後も少しずつ増やす予定のデザインですが、主な用途は原石ペンダントです。 |
【カーロジャリデザイン】
2011年から登場の新デザイン。 これはジャリ(透かし彫り)を応用したものです。 まずは手で一枚目のプレートに透かし彫りを施し、透かし彫りが出来たプレートを透かし彫りの無いプレートと貼り合わせて完成します。 手先の器用さとセンスを問われるかなり高度なデザイン。 仕上がりは唐草模様(アラベスク)のようで非常に格好良いです。 主にヒマラヤ水晶原石ペンダントに使われるデザインですが、今後の主力と考えているデザインです。 |
【シルバーx銅デザイン】
2005年から時々作っているデザイン。 銀細工に銅を融合させたもの。 銅は赤みがある金属のため、シルバーとの2色性が生まれることにより非常にお洒落に見えます。 しかし銅は酸化すると黒っぽくなるという最大の弱点があります。 原石ペンダントにはあまり使わないデザインですが、カボションの側面や、フィルグリワイヤーの一部に銅を使ったりします。 |
【フラットドラゴン・フラットバジュラ】
人気のデザインであり、水晶との相性も抜群です。 フラットドラゴンをキャップに施すと、水晶の貫録と威風堂々感が増すように思えます。 平べったい龍(フラットドラゴン)の細工を、土台の水晶キャップに溶接して仕上がるデザインですので、手間と時間がかかります。 もちろんこのフラットドラゴンもカービング(手彫り)で作っているものですので、龍の細工がが上手な工房で別注して、キャップを作る細工師の工房へ持っていきます。 同様の方法にて平べったい金剛杵(フラットバジュラ)というデザインもございます。 これらフラットドラゴンとフラットバジュラデザインは、細工に負けない大きな水晶や質の良い水晶原石ペンダントにのみ施します。 銀細工料も値段に反映されるため、このペンダントはどれも少し高めになります。 |
【吊り下げタイプ】
ダブルポイント水晶や根元周辺に内包物や見所があり、その部分をキャップで隠したくないときに用いられるデザイン。 昔から稀に作っていたデザインですが、チェーンを使う為に強度に若干の不安が残ります。 しかし近年ではチェーンを太いものに変えたり、接合部分を強化するなどして、かなり強度が改善されております。 鉢巻状の銀プレートを作ってから上記のフラットドラゴンやフラットバジュラを溶接します。 その後、側面からチェーン溶接して吊り下げ式が完成します。 キャップのように水晶を切る必要がないので、原石好きには嬉しいですね。 また、デザインとしてもスタイリッシュで非常に格好良いのです。 しかし身に付けていると水晶が揺れやすいので、何処かにぶつけてしまわぬようご注意ください。 |
【ダブルナーガデザイン】
これも登場で衝撃を与えたデザインでしたが、初登場は2007年でした。 ナーガを2匹水晶に巻きつけるデザインですが、当然のことながらシングルのナーガ以上の技術とセンスを要します。 ダブルナーガも当店直属の細工師のみが上手に巻けるものですが、彼のダブルナーガのデザインを見ると、並はずれたセンスを感じることができるはずです。 ナーガを巻くことに関しては、彼の右に出るものはいないでしょう。 リクエストが多いので、最近は多少数量を増やしておりますが、まずはダブルナーガに負けないほどのレア&存在感のある水晶でなければなりません。 レアな水晶は少ないからこそレアなのであって、それに伴いダブルナーガの制作も決して多くはありません。 シングルのナーガ同様に接着剤が残ったり、身につけるときの安定感に欠けたりという弱点がございますが、ナーガ好きならばひとつは手にしたいデザインです。 |
【ドラゴントップ】
インパクト超特大の秘蔵キャップです。 龍は古来よりパワーの象徴です。 ドラゴン=パワーという考えは古代中国よりチベットを経てネパールに渡ってきたものでしょう。 龍は仏教画(タンカ)の中にも描かれる事がありますし、神仏が龍の上に鎮座することがあるほどです。 天上界にまで昇ることが出来るドラゴンは、象徴学上では上昇志向のシンボルです。 そんなドラゴンが水晶を守るデザインがドラゴントップです。 実はこれ、古い銀屋で見つけたドラゴンの指輪を銀のキャップに巻きつけるようにして加工しているものです。 この指輪は2006年にキャスティング(型)の作り直しに成功しましたので、型押しにより作っているものです。 主に大きくて質の良い原石水晶や丸玉に使われます。 ドラゴンの指輪のみで7-8000円するものです。 その値段が上乗せされてドラゴントップペンダントの価格に反映されていると思って下さい。 迫力・存在感最大級のドラゴントップは太めのシルバーチェーンと合わせるのがお勧めです。 |
【10年記念特別デザイン イヴモデル】
2010年にスパイキーパサル10周年記念として12本のみ販売した限定デザイン。これは1999年に初めて作ったヒマラヤ水晶ペンダントを復刻したものです。現在はこのデザインは使用しておりませんが、「スパイキーパサル(旧名スパイキーネパール)の名も無かった頃の始まりのペンダントです。 つまりはすべてのはじまり、イヴモデルなのです。 今後の再販予定は今のところございません。 |
【ジャリ(透かし彫り)】
こちらはネパール銀細工の伝統技術の一つで、当店でも多用しているデザインです。 ネパール語で透かし彫りのことをジャリと呼びますので、当店でもそのままジャリと呼んでおります。 このジャリデザインは非常に技術を要するものです。 まずは紙にペンでデザインを描きます。 その後、紙に描いたデザインをシルバーに写し、鉄やすりのようなもので地道に削って透かしを作り出します。 全部手作業なのが本当に驚きですが、ジャリは細工師の技術が如実に表れます。 ジャリを行う細工師はネパールにたくさんおりますが、とにかく細工の繊細さを比べれば一目瞭然でしょう。 当店の細工師はもともと最も繊細さを要求する金の彫金を行う細工師です。 10年間で色々なジャリ細工師に依頼しましたが、現在依頼している細工師が現役最高峰の腕前だと考えております。 技術料の分だけ高くなりますが、当店自信の細工のひとつです。 |
【ストーンセット】
側面にも石が入っているお洒落デザイン。 現状での主な用途はラピスラズリのカボションとターコイズのカボションのみですが、銀細工の側面にも同様の石が入っております。 これはパウダーを溶かして入れ込んだのではなく、この大きさに天然のラピスラズリやターコイズをカットしてセッティングしたものです。 良く見るとモザイク模様のように何個にもブロックが分かれているのがわかると思います。 横から見たときの意外性やお洒落性は抜群です。 |
【クラウントップ】
2008年から登場のデザインです。 シンプルながらもちょいお洒落、普段着けでも邪魔にならないデザインとして考案しました。 カボションの台座からちょこっと乗っかったデザインが王冠(クラウン)のようなのでクラウントップと呼んでおります。 主な用途は小さなカボションや小さなスクエアカットです。 どんな石にでも相性く、どんな石と合わせても可愛らしく見せてくれます。 女性向けのデザインとなっております。 |
【丸玉三日月デザイン】
2011年登場の新デザイン。 主に丸玉ビーズをペンダントに加工する為のデザインです。 三日月のようなシェイプから三日月デザインと名付けました。 通し穴部分にシルバーの芯を通しておりますので、玉の落下の心配もなく玉はくるくると回転します。 最も好きな表情の部分を前に出して着用しましょう。 ビーズ玉ひとつが立派なペンダントに早変わり。 三日月部分とバチカン部分にも簡単なフィルグリデザインが施されています。 主な用途は丸玉やビーズ穴の通っているものとなります。 |