水晶用語・内包物編
アイウエオ順ではありません。上の記述と下の記述が連携するように考えて並べております。
【インクルージョン(内包物)】
字のごとく、水晶の中に入っているその他の鉱物のこと(鉱物に限らず虹や液泡なども内包物と呼ぶことがある)。 水晶は鉱物豊富な環境で育つため、他の鉱物を内部に取り込む事が非常に多いといえます。 内包物は大きく分けて 1.内包物が先に育ち、その鉱物の特徴を持ったまま、水晶に内包されるパターン(初生インクルージョン) 2.内包物と水晶が同時に育ち、内包された鉱物がその鉱物の特性を持たないパターン(同生インクルージョン) 3.成長後の環境変化~温度や圧力の変化等~により、内部に生じたパターンがあります。 多くの内包物水晶を見ているうちに、どのパターンなのかある程度推測できるようになります。 インクルージョンは鉄系鉱物(ヘマタイトなど)、チタン系鉱物(ルチルなど)角閃石系鉱物(緑閃石など)、雲母(バイオタイトなど)、時にはガーネットやフローライトなど、実に様々です。 その内包形状も色も多くのバラエティがあり、見た目だけでは鉱物学者や鑑別師さえも内包物を同定できないことも多々ございます。 水晶内部で千変万化の風景画を見せてくれるインクルージョンは水晶鑑賞の最大のハイライトと言えるでしょう。 |
【緑泥石入り水晶】
最も「ヒマラヤ水晶」らしいと思われる内包物です。 最近では様々な色・形状・内包物を持つ水晶がヒマラヤ山中から見つかっておりますが、かつてはこの緑泥入り水晶がヒマラヤ水晶の代表格でした。 この緑泥石は厳密には12に分別される緑泥石族(chlorite group)の事を指し、アルパインベインタイプの鉱脈の変成岩中で多くみられる鉱物です。 ヨーロッパアルプスでもヒマラヤ水晶にそっくりな緑泥石入り水晶が多く産出します。 水晶と同時に育ち、内包された緑泥石はまるで苔のようにも見えますので苔入り水晶とも呼ばれます。 「この緑色の物質は苔(又は藻)であり、遥か昔にヒマラヤが海であった証拠である」と噂されるほどその形状は苔や藻のようです。 良くも悪くも和名が「緑」泥石なのですが、クローライトグループが必ずしも緑というわけではありません。 緑泥石入り水晶はダディン地区ガネーシュヒマールのラパ地域全域で産出しますが、特に良質なものはラプチェ鉱山やクプチェ鉱山などで採掘されるようです。 現在ではタンタブレ鉱山やタティガン鉱山、マンゲルマグリン鉱山でも良質な緑泥が産出します。 ※スパイキーパサルが調査しました、まだ調査中でもあります。 |
【アクチノライト水晶】
この内包物もヒマラヤ水晶において多くみられる内包物の一つです。 まだヒマラヤ水晶が多く研究されていなかった当初、当店でも緑ルチルと呼んでおりましたが、混乱を避けるため、名前をアクチノライト(緑閃石)入り水晶と統一します。 このアクチノライト(actinolite)は和名を緑閃石といい、角閃石族(Amphibole)に属します。 鉱物的にもルチル(金紅石)とは全くもって別のものです。 太い細い、濃い薄い…と様々な表情を見せてくれるアクチノライトですが、基本的には緑色の針金形状または繊毛状です。 アルパインベインで良くみられる内包物ですので、ヨーロッパアルプスでも同様のアクチノライト入りが産出します。 ガネーシュヒマール全域でみられる水晶ですが、良質なものはタンタブレやタティガンと呼ばれるラパの高地(ガネーシュヒマールの西稜)ではないかとスパイキーは推測しております(現在調査中) |
【ガーデン水晶】
「ガーデン水晶」という呼び名も定義が曖昧な呼称のうちの一つです。 内包物などによりまるで水晶の内部に「庭園」が見えるような、そんな水晶の総称です。 緑色の山岳風景や、小さな湖畔の情景などを見せてくれる緑泥石入り水晶や、仙人が棲んでいそうな竹林風景や神秘的な奥深い森を見せてくれるアクチノライト水晶は、ガーデン水晶の典型といってよいでしょう。 |
【針金形状内包物入り水晶】
ルチル水晶という混乱を招いた針金形状内包物。 当店でも昔はルチル水晶やルチル形状をした内包物と呼んでおりましたので、混乱を招いた要因かと思います。 申し訳ございませんでした。 先駆者であるが故の間違いにてご容赦ください。 ヒマラヤ産においてルチルのような形状をした内包物の多くは、ルチル(金鉱石)ではなく、角閃石族に属する鉱物が針金形状・繊毛形状になったものです。 あくまでも個人的な見解ですが、鉄系鉱物の針金形状内包物(ゲーサイト等)やチタン鉱物の針金形状内包物(ルチル等)と角閃石族の針金形状内包物の違いは、その「質感」によってある程度見分けることができます。 前者2種は無機質的で、鋭く硬質な輝きを持つのに対し、後者の角閃石系は有機質的で柔らかく軟質な輝きを持ちます。 前者はより金属質的で後者は植物質、あるいは動物の毛のように見えます。 ルチルは強い光に当てて拡大鏡で観察しても色が単色で金属光沢を放ちますが、角閃石は強い光をあてて拡大鏡で観察すると色にかなりの斑が見られます。 ヒマラヤ水晶の中では内包物として多く確認されるものですが、角閃石族の何にあたるかは破壊してXRD検査にでもかけない限りはわかりません。 角閃石族は非常に千差万別で面白い世界を創り出してくれます。 |
【アミアント(ビソライト)入り水晶】
上記の角閃石族針金形状内包物入り水晶の中の呼称のひとつ。 実は角閃石は「石綿」なのです。 石綿!? そうです、これが工業利用されるとあの断熱材として話題となったアスベストなのです。 針金形状というよりも、繊毛状・綿毛状と表現するのが近いといえます。 ドイツの鉱物専門書や英文著書・サイトを見ると、amiant(もしくは英名ビソライト)と一括されていることが多く、やはり白から灰色(銀色)の非常に繊細で綿状の内包物のことを指して呼んでいる事が多いです。 アミアントもアルパインベインの変成岩中に産出することが多く、緑泥石や緑閃石と一緒に内包されることも稀ではありません。 非常に繊細で有機質なアミアントは優しさと力強さを兼ね備えるペガサスの毛並みを連想させます。 その為、スパイキーでは天馬または天馬水晶(S造語)と呼ぶことがあります。 |
【角閃石入り水晶と無色緑閃石入り水晶】
上記アクチノライト水晶と天馬水晶(アミアント入り)の中間に位置する内包物として敢えて分化しております。 ダディン地区ガネーシュヒマールのラパ地域のタンボール?(正式な名前不明)鉱山に非常に良質かつ興味深い針金形状内包物入り水晶を産出する鉱山があります。 その鉱山から来る水晶に入っている内包物は、かなり太い針金形状で、ときにススキ色からファイバーのような半透明のものもあります。 更にはアクチノライトの緑色とススキ色、透明色がひとつの針に同時に見られることもあり、まさにアクチノライトの緑色が色抜きされたかのようなのです。 同じ角閃石族ではありますが、繊毛状アミアントとは明らかに形状や色に違いがあります。 ドイツの鉱物専門書でColorless Actinolite、つまり無色緑閃石という言葉を見つけました(ヒマラヤ水晶に対しての解説ではありませんでしたが) まさにこの内包物を形容するのにぴったりの呼称だと思い、スパイキーでは無色緑閃石(S造語)と呼ぶことにしております。 無色の角閃石はTremolite(トレモライト・透閃石)とも呼ばれます。 スパイキーパサルの呼び名分類では、「アミアント・ビソライト=細い、角閃石・カラーレスアクチノライト=太い」と考えて下さい。 |
【エンジェルヘアー・ビーナスヘアー】
エンジェルヘアー・ビーナスヘアーという呼称は、一般的には繊細な金ルチルと銀ルチルが混合しているものを指すようです。 しかし角閃石族の針金形状・繊毛形状内包物にも非常に繊細で、まさに天使の髪の毛か、はたまたビーナスの髪の毛を連想させるほど妖艶で美しいものがございます。 もともとはルチルの美しさを表現するための呼称なのかもしれませんが、スパイキーパサルでは角閃石族の美しい毛状繊細内包物にも呼称として使っております。 |
【ヘマタイト内包(貫入)水晶】
和名赤鉄鉱のとおり、鉄(Fe)を主成分とする酸化鉄系鉱物です。 板状または層状で結晶しますが、水晶愛好家にとっては水晶に付着・内包する姿が最もなじみ深いかもしれません。 ヘマタイトの酸化状態により、水晶を綺麗な赤色やオレンジ色に染め上げることもありますが、通常は少し赤褐色を帯びた金属光沢のある黒色です。 水晶内部に点状に美しく散在したもの、大きな一枚の板状ヘマタイトがガツンと貫入してるもの、水晶表面に大量に付着しているもの等、その内包・付着形状は様々です。 ヘマタイトの付着や内包はヒマラヤ全域で確認できますが、素晴らしい貫入や内包・付着が見られるものの多くはガネーシュヒマール山のラパ地域とティプリン地域からきます。 特にティプリンのものにはヘマタイトによるファントム等の驚くほど美しいものが存在します。 |
【トルマリン入り水晶】
トルマリン(和名電気石)が水晶に付着・貫入・内包されるケースも珍しいことではありません。 多くの場合は、ショールと呼ばれる不透明な黒色のトルマリンですが、非常に稀にピンク色のトルマリンやバイカラートルマリンが内包されることもあるようです(ヒマラヤにおいては確認しておりません) ブルールチルという誤称で通っているインディゴライトクォーツもルチルでは無くブルーの色をしたトルマリンです(ヒマラヤでは産出しませんが) ガネーシュヒマール山のラパの地域においては、針金形状のトルマリンが内包される水晶が産出し、タプレジュン地区カンチェンジュンガ山のロダンタールやイカブ地域においては、主に水晶に付着している形状で産出します(※スパイキーパサルが調査しました) 水晶がトルマリンを内包する状況は、主にペグマタイト中で起こりますが、例外として細身の針金形状のトルマリンの内包がアルペンベインタイプの鉱脈でも見つかることがわかっています。 以上から推測すると、ガネーシュのトルマリン入りはアルパインベインタイプの鉱脈から、カンチェンのトルマリン付着はペグマタイト中から採掘されたということが分かります。 |
【モスコバイト(白雲母)入り水晶】
ヒマラヤ水晶に内包・貫入・付着する鉱物の一つで、モスコバイト(Moscovite)と呼ばれることもしばしば。 自形結晶すると、ひらひらとした8面体鱗状・葉片状を成します。 へき開が一方向に完全であるため、層状になった雲母は手で一枚一枚剥がせるという変わった特性を持ちます。 そう、学生のころ理科の実験で使った雲母はまさにこの雲母なのです。 白雲母は熱や電気を伝えにくい鉱物ですので、絶縁体として使われます。 水晶よりも先に白雲母が生成して、水晶に取り込まれた場合(もしくは付着した場合)、8面体鱗状の形をそのまま残して内包・付着します。 |
【つらら入り水晶】
水晶の面から内側に向かってしゅっと白いツララ状の内包物が見られるもの。 まさに冬場の軒先を思わせるツララの形状ですので、つらら入り水晶(S造語)と名付けました。 つららはポイント付近に生えることも多く、面と面に反射して沢山の幻影つららが見えるものもあります。 このつららの正体は、上記マイカ(モスコバイト)だと思われます。 上記の白雲母が、水晶と同時に生成しながら内部に取り込まれてゆくと(同生インクルージョン)この様な形状になると思われます。 白雲母のインクルージョン形状はつらら状のみに留まらず、チョークのように特大なものが内包されることがあれば、放射線状に内包されることもあり、雲状にもくもくと内包されることもございます。 |
【バイオタイト(黒雲母)入り水晶】
褐色のセロファンのような形状を持つ不思議な内包物ですが、これも雲母の一種で黒雲母(バイオタイトまたはビオタイト)と呼ばれます。 ※厳密には黒雲母とは厳密な種ではなく、鉄雲母と金雲母の中間種であり、鉄(Fe)とマグネシウム(Mg)を含んでおります。 上記白雲母と同様に8面体鱗状・葉片状に結晶しますが、大きな違いは鉄分を多く含んでいるため黒色であるということです。 水晶と同時に生成しながら同生インクルージョンとして内包されると、美しいセロファンのような形状となります。 見様によってはワカメのような姿ですが、非常に美しく神秘的な内包物の一つだと言えるでしょう。 水晶よりも先に生成し、初生インクルージョンとして取り込まれると(または付着すると)、黒色で8面体鱗状の姿で内包・付着します。 透明度高いの水晶に内包されている事が多く、最近ではガネーシュヒマール山のティプリン地域で多く産出しております。 タプレジュン地区カンチェンジュンガ山の一部地域からの産出も聞いたことがありますが、定かではありません。 ※只今スパイキーが調査中です。 |
【プロゴバイト(金雲母)入り水晶】
雲母グループの一種で、字の如く金色の雲母。 金色はマグネシウムの含有によるものです。 雲母としての特徴は他の雲母と同様で、8面体鱗状・葉片状に結晶します。 こちらも水晶に生成されると絶品の美しさを発揮します。 黄金に輝くその様は、地球の神秘、いや宇宙の神秘を目の当たりにしているようです。 その様子からビックバン水晶(S造語)、またはフェニックスの羽(S造語)と呼ぶこともあります。 ヒマラヤ水晶の中でも最も美しく珍しいものと考えております。 ごく稀にガネーシュヒマール山のチョンテンカルカ地域の最高質ミラーの中にプロゴバイト(もしくはバイオタイト)が内包されているものがありますが、これは文句なく最高質のヒマラヤ水晶といえるでしょう。 ※スパイキーパサルが調査しました。 |
【ガーネット入り水晶】
ガーネットも非常に稀なタイプの内包物です。 ガーネットは通常、岩石内で単体として結晶するため、水溶液中で結晶する水晶に内包されることはほとんどありません。 しかし例外として、高温下のペグマタイト内では水溶液中でもガーネットが生成するため、このように水晶に取り込まれることがあります。 単体結晶のガーネットはダディン地区、サンクワサバ地区、イラム地区でも確認されておりますが(詳しくは他のヒマラヤ系鉱物解説参照)、ガーネットインクルージョンのある水晶は、タプレジュン地区カンチェンジュンガのペグマタイト鉱床(イカブサンサブ地域でアクアマリンやショールトルマリンなどと一緒に産出します)からしか確認されておりません。(※スパイキーが調査した情報です。) 内包されるガーネットはスペサルティンタイプではないかと思われますが、現在調査中です。 大概の場合、ガーネットを内包する水晶の表面はすりガラス状の半透明で、水晶内部が綺麗に見えません(ごく稀に表面が透明なものも産出します) しかし内部は透明なので、ガーネット部分をカボションカットなどにして抜き出すと、とても素晴らしいものが出来上がります。 |
【チタナイト付着】
チタン系(Ti)鉱物であり、水晶に付着します。 宝石名としての呼称である「スフェーン」と呼ばれる事もしばしば。 和名を楔石(くさびいし)といいます。 黒砂糖のようなブラウンシュガー色もしくは緑を帯びた黄色で、粒々と細かで尖った結晶なのが特徴です。 多色性が強く黄緑色~褐色ですが、ヒマラヤの多くのものは褐色が強いように思えます。 水晶の表面に付着していることが多く、強く触れると剥離してしまうこともあるで注意が必要です。 自形を保ったまま水晶内部に内包されることもあるようですが、ヒマラヤ産水晶におて確認したチタナイトはほとんどが表面に付着したものです(スパイキーパサルが調査しました) |
【水入り水晶】
その名の示す通り、液体を含んだ水晶。 しかし実際にはほとんどの水晶に液体インクルージョンは含まれており、それがあまりに微細であるため肉眼で確認ができないだけなのです。 ここでの水入り水晶とは「水晶に内包された液体が気泡(バブル)が動くことにより、肉眼で確認できる水晶」ということにするのが良いでしょう。 バブルが大きければ大きいほど良しとされ、バブルの動きが良ければよいほど価値も上がる傾向にあります。 肉眼での可視・不可視を問わず、水晶に液体が内包される事は多々あるのですが、稀に石油が内包されることもあり、エンハロイドクォーツなどと呼ばれて貴重なコレクターアイテムとなります(※ヒマラヤにおいては産出がございません) また、高圧下の水晶生成過程においては、通常は気体である二酸化炭素やメタンなども液体として内包されることがあります。 非常に速い成長を見せるスケルタル水晶(骸晶)は水を取り込むことが多く、スケルタル水晶の内部を良く観察すれば、動くバブルが肉眼でも見つけられるかもしれません。 ガネーシュヒマール山・ラパ地域のスケルトン水晶及びアメジスト水晶を産出する鉱山の水晶には水入りが非常に多く見られます。 スパイキーパサルの見解ですが、ヒマラヤには水入り水晶が多くあります。 珍しいと思われがちですが、決して珍しいわけではありません。 しかし何故か現地でも「水入り水晶は高く売れる」という概念が定着しており、村人も業者も必死で内包されている水を探しては高値を付けます。 従ってヒマラヤの水入り水晶は高いです。 |
【山入り水晶(ファントムクォーツ)】
水晶内部に錐面の5角形の上辺2辺と平行した山なりの層が見られるもの。 ちょうど山状になるので、和名山入り水晶といいますが、ファントムクォーツという名前のほうが通っているかも知れません。 ファントムとはフランス語でゴーストの意味です。 まるでオバケのようにうっすらと浮かび上がっている様から名付けられたのでしょう。 このファントムを作り出す原因は、水晶の成長過程において一時的に他の鉱物(典型的例はクローライト)が水晶に降り注ぐことにあります。 それが水晶にとっては成長を阻害するものとなり、一時的に成長が中断します。 しかし鉱物の降り注ぎが一時的であるために成長がすぐ再開されます。 すると一時中断した部分に内包物を置き去ることになり、ポイントに平行した「山」が生まれるのです。 これが繰り返されると、層状に連なるファントムとなります。 また、カラーゾーニング(色の境界線)による山もファントムクォーツと考えられます。 上記色による分類に既出のスモーキーファントムクォーツ(バイオスモーキー)が、カラーゾーニングによるファントムの好例といえるでしょう。 また、アメジストファントムも同様のカラーゾーニングによるファントムです。 尚、クローライトタイプのファントム水晶はガネーシュヒマールのラパ地域(恐らくは古い鉱山になります)と最近の新産地であるダウラギリにおいて確認されております。 しかしラパ地域のファントムは濃厚な緑泥石が力強い山を作るのに対し、ダウラギリのファントムはきめの細かいモスグリーンの緑泥がうっすらと層をなす形状のファントムという違いがございます。 ※スパイキーが調査しました。 |
【水晶貫入水晶】
なんと驚き!水晶の中に水晶が入ってしまうタイプです。 水晶の中に水晶、ということで水晶IN水晶(S造語)と呼ぶこともございます。 完全な状態の水晶入り水晶に至っては、内包されている水晶にも見事な6柱面とポイントを持ちます。 水晶の核が近い場所で発生し、同時に成長を開始すると重なり合い、時には片方の内部に入り込む事がございます。 他方の水晶が小さければ、大きな水晶に取り込まれる事になるでしょう。 ガネーシュヒマール山域の緑泥石入り水晶の中に、稀に水晶IN水晶を見つけることがありますが、最近あまり見かけることがないのは何故なのでしょうか(2010年現在) |
【砂岩片や泥土の小さな内包物や付着物】
造山活動や地殻運動が盛んな地域では、揺れや隆起などによりポケット内(水晶が生成している鉱床穴)の小さな長石片や微細な砂岩・泥土、雲母の燐片などが岩壁から剥がれ落ち、成長過程の水晶に影響を与えることがあります。 これらの微細な片は成長干渉を起こしたり、ファントム層を作り出したりもするのですが、水晶内部に取り込まれて内包物となったり、水晶表面に付着することがあります。 こと造山活動の盛んだったヒマラヤですので、ヒマラヤ水晶に多くの微細でユニーク、そして不明な?内包物が多いのは当然のことと言えますね。 そういった極小の内包物や特定のできない不明の内包物や付着鉱物が見受けられる場合、「黒色の点状内包物」や「黄色い泥状付着物」といった解説を行います。 まだまだ研究が進んでいないヒマラヤ水晶には正体不明の内包物や付着鉱物が |
【霧状のもや】
内部の液泡やクラック等が棚引く白い「もや」のように見えます。 液泡は内包物ですが、クラックは正確には内包物とは呼べないのかもしれません。 この「もや」が多いと曇りがちな半透明となります。 水晶生成時の外的環境や内的環境が影響を与えますので、もやの要因は多岐にわたります。 透明度が高い水晶ほど、良質だと考えられるのは仕方のないことではありますが、この「もや」は絶妙な量やバランスにより銀河のような小宇宙や天の川を見せてくれます。 スパイキーパサルの解説では基本的に「霧状のもや」という言い方をしております。 |
【虹入り水晶】
これも正確には他の鉱物が混入しているわけではありませんので、他の鉱物が内包されている「内包物入り」とは少し異なります。 水晶の内部に見える虹の主たる原因は、クラック(内部亀裂層)によるものです。 内部のクラック層が光の屈折を生み、光の反射角度によって虹のプリズムが輝く水晶を虹入り水晶と呼びます。水晶にとって他の鉱物の内包は、大きな衝撃でもあります。 その為、上記に解説してきた針金形状内包物やヘマタイト等の内包物の周辺にはクラックが生じることが多く、結果とし内包物入り水晶には虹が見えやすいという傾向があります。 大きなプリズムを持つもの、小さなプリズムがたくさん見えるもの、扇状のプリズムなど、虹の見え方にも様々ですが、スパイキーパサルでは虹の大きさや輝きの強さにより1光、3光、5光、7光と呼ぶことがございます。 |